信夫 あゆみ

SHINOBU Ayumi

信夫 あゆみ

1994年大阪府生まれ。 東京大学大学院 工学系研究科 社会基盤学専攻 修士課程在籍。
都市のおもしろいポイントを発見し、地域の人と共有、発展させていくことに関心を持ち、「コレクティヴ・ポイント」というグループにて、都市に関するリサーチや議論の場づくり、ワークショップのファシリテーションやインスタレーションの作成等を行う。主なプロジェクトに「都市の肖像 ミンスク」(Minsk、2019)、「痛みのパリ ガラス編」(Paris、2020)などがある。

  • 今までの作品について

    私は大学院で都市について学んでいます。個人として、またコレクティヴ・ポイントの活動として、「都市の面白い側面を発見し、それをまちの人々と共有し発展させる」ということに関心を持ち、これまで都市のリサーチやワークショップのファシリテーション、議論の場づくりといった活動に取り組んできました。
    個人としては、パリ郊外のある中学校に隣接する広場の再整備案を、中学生や周辺住民とのワークショップを通じて提案するプロジェクト「ParAvis」に、2019年にインターン生として参加しました。
    またコレクティヴ・ポイントのプロジェクトで代表的なものとしては、「痛みのパリ ガラス編」と題して、2020年2月にパリで開催したイベントがあります。パリを対象に「痛み」と「ガラス」の観点でリサーチした内容を、ガラスを用いたインスタレーションの形で表現し、来場者との議論の場やパフォーマンスを企画しました。


    「痛みのパリ ガラス編」の様子

  • 今回のリサーチテーマ

    滞在期間の前半は、応募段階で提案していた通り、男山団地の近所に住む老夫婦に対して、人、家、都市、記憶の観点からインタビューを実施し、その住宅周辺のエリアを調査しました。老夫婦は年齢と共に足腰を動かすことが難しくなってきており、以前は熱心に世話をしていた庭には草木が生い茂り、家が植物に埋もれて行っているような様子が印象的でした。
    その後、全体でのフィールドワークから得られた情報や川口さんのリサーチから得られた情報とも合わせてリサーチ結果を整理し、それらについて解釈を加えていきました。中間報告では「『機能的なもの』が 不可触 / 聖化され 『自然』に埋もれていく」というコンセプトについて発表しました。
    中間報告後は、そのコンセプトを効果的に表現する方法を模索するべく、八幡市において特徴的な植物は何かをリサーチすることにしました。私は石清水八幡宮を訪れ、境内の植物の撮影、社務所の宮司さんへの男山の植物についてのインタビュー等を実施しました。ここでも、灯籠や塀といった機能的なものが草木に埋もれていっている様子が観察されました。また、孟宗竹の林が、元々生えていた松林を駆逐する形で境内を覆ってきているというお話も印象的でした。


    植物に埋もれる石清水八幡宮の灯籠


    植物が生えた石清水八幡宮の信長塀


    石清水八幡宮社務所の宮司さんに見せていただいた「京都男山の植物」


    草木が生い茂る石清水八幡宮の参道

    これらの結果や川口さんのリサーチの内容を受け、最終的なコンセプトは「機能的なものが植物に埋もれていくと 聖なるものになっていく」というものになりました。活動報告展では、このコンセプトに至るまでにポイントとなった事実情報や、アイデアを表現するイメージパースを看板に掲載し、展示会場となっていた松花堂庭園の屋外の庭園に設置しました。


    活動報告展の様子-1


    活動報告展の様子-2


    活動報告展の様子-3


    活動報告展の様子-4

  • コミュニケーションについて

    全体を通して、ユニットとしてともに参加していた川口さんと多くコミュニケーションを取りながらリサーチを進めました。まず各自現地を調査して事実情報を収集し、その後それらを共有し、どのように解釈できるか、どういった示唆が得られるかを議論しながら、展示プランのコンセプトを導き出しました。
    一方で、ゲストアーティストの石川さんや島袋さん、他の参加アーティストの皆さん、スタッフのみなさんともコミュニケーションをとる機会が多く、とても刺激になりました。これほど多くのアーティストの方と接することも、自分がアーティストを名乗ることも初めてで、少し緊張していた部分もありましたが、中間報告後から少しずつ、気になっていたことを質問してみたり、感じたことを言葉にしたりするようになりました。
    リサーチの過程では、インタビューした老夫婦や、石清水八幡宮の宮司さんにお世話になりました。宮司さんには、社務所にあった「京都男山の植物」という専門書を見せていただき、質問にも丁寧に対応していただきました。 活動報告展の設営に当たっては、男山団地のコーディネーターの方や展示会場の松花堂庭園の皆さんに大きく助けていただきました。 活動報告展中にも、訪れた方々とリサーチの内容や構想したプロジェクトについて議論することができました。


    活動報告展での来場者との議論の様子-1


    活動報告展での来場者との議論の様子-2


    活動報告展での来場者との議論の様子-3

  • ハプニング

    滞在中に自分のスマートフォンを落として故障させてしまい、急遽、滞在先近郊のニトリモールまで買い替えに行きました。取り落としたスマートフォンの画面には色とりどりの線が次々と表示されるようになり、「機能的なもの」の終わりを見るようで、自分たちのリサーチコンセプトとの整合性を感じ、思わずその画面の様子を動画に撮りました。


    故障したスマートフォンの様子

  • 今後の展開

    活動報告展では、「機能的なものが 植物に埋もれていくと 聖なるものになっていく」というコンセプトと、それを表現する「『黄ジャン』に植物を生やし 聖なるものにしてみる」というアイデアを、「黄ジャン様」と題して提案しました。「黄ジャン」とは、私たちが滞在していた男山団地内にある黄色いジャングルジムの、子供たちによる通称です。


    男山団地内にある「黄ジャン」


    アイデアのイメージパース

    今後は「聖なるもの」とはどう表現されうるのか、日本の都市空間と宗教的なものの関係性について等のリサーチを進めながら、より詳細に考えたいと思っています。

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