嶋田 晃士

SHIMADA Kohshi

嶋田 晃士

1981年京都府生まれ。美術大学在学中に「音」を用いた表現に興味を持ち、サウンド・スカルプチャーを制作する。その後、「音」をメインに扱いながらも、複合的にメディアを用いた作品を制作するようになる。自分自身と現実との関係を俯瞰したいと思い、しばしば電子機器やコンピューターを作品に取り入れている。近年ではスマートフォンやデジタル信号等を用いながら、身の回りにある情報を捉え直した作品の制作、発表を行っている。

  • クラスの外側

    嶋田晃士は、人の価値基準から外れた「自生の茶や廃棄物」からキネティック作品や映像を制作し、私たちを既成概念の外側へ導く。作品<クラスの外側>は、Yukawa-Nakayasuと空間を共有した倉庫全体に作品を点在させる形で発表している。

    まず1階入口で鑑賞者を迎えるのは、「茶畑から外れた自生の茶」の写真作品である。舗装された道に矯正され異様に曲がった根をもつ茶の木は、価値付けした商品のように撮影されている。加えて中に進むと、鑑賞者は「茶葉が蝶々の羽のように動く」キネティック作品に遭遇する。こうした自生の茶がもたらすお茶に対するイメージのズレは、私たちがもつ既成の認識を解離させていく。

    そして2階の映像とコラージュ作品では、茶にとどまらず廃棄された日用品へと視点が移される。廃棄物たちを接写撮影したスライドショーに、フランス哲学者サルトルの作品「嘔吐」の語りを組み合わせた映像。塗装表面がはがれ落ちた電化製品などの写真と、その物の破片を組み合わせたコラージュ作品。両作にある作家の視点をなぞるような鑑賞体験は、人の信じる価値観や基準が決して普遍的ではなく、その認識の表面はただの幻想にすぎないことを私たちに突きつける。

    そして遂に、3階の開口部分から洗濯機を振り子状に落下させ、滝をつき抜け、空中の銅板にあてるパフォーマンスによって、私たちは既成概念の外側へ導かれる。これまで見たことがない未知の体験は、「おろしたての身体感覚」を呼び覚ます。嶋田は、荒廃茶園や不必要になった物たちと出会うことが、自身の価値観や帰属感を揺るがすキッカケとなったと語る。また私たちも、本作によって認識の外部、普段直視することのないクラスの外側に、踏み入れたのかもしれない。

    協力(敬称略)
    AOIOA(芦内晋、西川元晴)、株式会社すぎもと、上嶋爽緑園、山内秀明、山口みゆき

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