渋田 薫

SHIBUTA Kaoru

渋田 薫

1980年北海道生まれ。音楽、自然音のリサーチを元に共感覚的に絵画へ変換する。これまでにエリザベスジョーンズアートセンター、バルセロナ芸術文化センター、サンタモニカ美術館、ロシア国立現代アートセンターで滞在制作発表を行っている。The 14th Arte Laguna Prize 特別賞(Arsenale, ヴェネツィア)。近年の展示に『Virtual Artists Trail』(SydenhamArts, ロンドン)、『After Greed Became Form』(White Rectangle Gallery, ロンドン)等。

  • 組曲

    渋田薫は、生命力溢れる茶の新芽、猿の群れとの遭遇、また町人との心象体験まで、「土地での経験を絵画に変換する事」で制作をおこなう。徒歩圏内の3会場でメインの4作品と小作品を展示した渋田は、オーケストラの楽曲のように4つの絵画に番号をふり、連作<組曲>として発表している。

    メイン会場の(株)すぎもとでは、吹き抜け部分に長さ6mのペインティングが2点吊り下げられ、鑑賞距離によって異なる体験をもたらす。組曲第1番は茶畑の新芽を、第2番は人間界の新芽ともいえる子供をテーマに、共に活発でリズミカルな様相をキャンバスに映し出していた。

    また創造工房自由庵に展示している第3番は、野生の猿に出会った経験から、まるで猿を憑依するかのように指で描いていたマチエールが特徴である。害獣被害が多発する和束町の体験を、絵画手法に変換していた一例である。そして第4番は、「京都:Re-Search 2019 in 和束」の参加者 池上綾乃さんが作曲する「Wazuka」が空間を満たすウッドデッキに、屋外展示されている。ロッキングチェアに座り、和束町の風景と共に鑑賞する方法は、本作のタイトルであるGrandma(祖)母なる大地に抱かれる体験をもつ。

    渋田は連作「組曲」としてペインティングにストーリーをもたせる事で、各会場の土地や風景をつないでみせた。そして「組曲」のハーモニーは、鑑賞者に和束町が奏でる余韻をのこしたのではないだろうか。

    協力(敬称略)
    とみたちひろ、北和久(北午木材)、岡田奈津枝(福岡久園)、池上綾乃、Hideto Uesugi、鴨江アートセンター、Elisabeth Jones Art Center、雲の平山荘アーティストインレジデンス、Kronos Art BCN、ARTS SANTAMONICA、d:matcha Kyoto CAFE&KITCHEN、八木梓、山内秀明、大岡英介(oversoul sound studio)、和束町立和束保育園

« 2 2 »