リヴァ・クリストフ

RIVA Christophe

リヴァ・クリストフ

1993年大阪府生まれ。日本・フランス・中国、多様な文化圏で培った、ユーモア溢れるグラフィティと漫画の表現をするアーティスト。クリストフの作品の多くには、躍動感溢れるタッチで人間が異なるものにトランスフォームする姿が描かれる。それは多文化化する時代に、既存の言語や文化の枠組みで補いきれないコミュニケーションの為に生まれた、独自の視覚言語を作り出す試みである。

  • 筋トレde和束

    リヴァ・クリストフは、「壁画」や「公共空間に介入する映像」を通して縦横無尽に、和束町に潜在する風景に足跡をのこす。町内6箇所に描かれた<壁画>は、所有者との絵柄交渉のプロセスを経て、主産業の茶業のほかに、木材や建材業など土地の生業を浮きあがらせた。プログラムを終えた後も町の風景にのこる壁画は、どのように和束町の表情に溶け込むか楽しみである。

    またクリストフの作品は、ペインティングに留まらず展開する。室内展示の<筋トレ de 和束>は、町内の風景を背景に、スクワットや懸垂などの筋トレで介入する映像作品である。収穫のために切り開かれた茶畑の山道をランニングコースに、また町のモニュメントを懸垂器具にするなど、映える風景を筋トレ背景へと鑑賞対象をずらす事で、ユーモアと共に風景に対する固定観念を揺さぶった。
    同様の視点は、和束町のマスコットキャラクター「茶茶ちゃん」と似顔絵対決し、着ぐるみを動かす人間を描いた<似顔絵合戦>にも見られ、私たちに笑顔をもたらす。また地域レジデンスプロジェクトにある暗黙の地域への忖度をあえて表わした絵画<二つの茶畑>は、プログラムの制度批判というブラックユーモアな視点をもっていた。

    クリストフは、会期中会場で鑑賞者の似顔絵を描き、時にラップのパフォーマンスを披露し、人との関係性を新たにつなぎ合わせていた。滞在中の出来事を即座に作品のアイデアに変え、あらゆる体験を取りこぼす事なく原動力に変えたクリストフの作品は、どこか愛嬌がありながらも辛辣な視点で、私たちに脳トレさせていたかもしれない。

    協力(敬称略)
    京都おぶぶ茶苑、(有)北午木材、岸田オーナー、とみたちひろ、湯船区長、なごみの湖(湯船フィッシングエリア)、北建材店

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