SIDE CORE

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2012年より活動開始。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。美術史や歴史を背景にストリートアートを読み解く展覧会『SIDE CORE-日本美術と「ストリートの感性」-』(2012)発表後、問題意識は歴史から現在の都市や身体へと移行し、活動のを実際の路上へと広げている。「生きている東京展」(ワタリウム美術館・2020)「Out of Blueprints」(Serpentine Galleries・2020)

  • 岬のサイクロプス EVERYDAY HOLIDAY SQUAD

    真ん中で区切られた2つの空間があります。SIDE COREの展示は経ヶ岬灯台に関する3連作となっており、目の前の空間には「立ち並ぶ沢山のスコップ」そして「岩に巨大な目玉の影を写した写真」が設置されています。そして奥の部屋には「経ヶ岬灯台 に巨大な目を取り付ける映像作品」が設置されています。スコップの間を抜けて奥までお入りください。

    1) スコップに関して
    この作品は大京都芸術祭がエア地域の人々に声をかけ集めたスコップ200本あまりで構成されています。「なぜかスコップを集めているらしい」という噂が広がり、短い期間でありながら大量の数が集まりました。スコップをあえて立てて並べることで、普段個性 を感じないスコップに年代や用途など様々な違いが見えて来ます。スコップが建てられている事が人が立っている様子に見え ますが、ついさっきまで使われていたスコップが一時的に地面に刺されて置かれているようにも見えます。また、大量のスコップの背景には石切場の写真が貼られていますが、この石切場は経ヶ岬灯台の真下にあり、そこで採取された安山岩は灯台の建設資材として利用されました。しかし灯台から石切場までの高低差が200m以上ある急斜面であった他、浦西という非常に強い風が吹く地帯であり、その作業は困難を極めたと容易に想像できます。この灯台建設の写真や資料はほとんど残されておらず、その建設に関してはわからない事が多いそうです。この作品は、そのような灯台建設の背景にある重労働、時間、そして従事した多くの労働者など、今では知りえない労働への想像力を膨らますことを目的としています。それはまた、灯台だけではなくありとあらゆる土木作業に通じる視点です。道路や建物だけではなく川の護岸から山の斜面まで、私達の暮らす環境の背景に は全て人の手が加わっており、そのような労働への想像力を膨らますことをこの作品は意図しています。

    2) 写真作品に関して
    先の文章でも触れていますが、本作は経ヶ岬灯台の建設のために安山岩を切り出した石切場で撮影された写真です。作業員姿の人物が肩車をして、ヘルメットに取り付けたヘッドライトで石切場に巨大な目の影を照らしています。この写真の背景にある 山の頂上付近に経ヶ岬灯台は位置しており、また石切場の目の前には日本海が広がっています。この岩場は最寄りの駐車場から 30分近く起伏の激しい山道と海岸を歩いて行く事ができます。また岩場はそもそも起伏が激しく「この場所が石切場であった」ということを探し出すことは困難です。ここにいつも釣りに来ている釣り人さえ、その歴史に気がつく人は少ないでしょう。この「目」は海を監視するエックスバンドレーダーと同じ方角を見ていると同時に、この岩場自体の歴史や地形の個性を発掘/調べる視線を表現しています。

    3) 映像作品に関して
    本作は2019年に制作された作品で、経ヶ岬灯台のレンズに巨大な目の切り紙(ステンシル)を取り付け、灯台をギリシャ神話に登場する一つ目の巨人「サイクロプス」に見立てるという内容です。灯台のレンズや台座がフランス万博で購入されて来た1893年、フランスで活躍していた画家オディロン・ルドンは何枚ものサイクロプスの絵を描いています。ルドンの絵に描かれた1つ目の巨人の多くは真っ正面を見ており、それは作品を鑑賞している「鑑賞者を見ている」のです。歴史ある経ヶ岬灯台は京丹後の重要な観光資源であり、船を誘導する役割を担っていることから、人々に「見られるもの」です。しかしかつて灯台は「見るためのもの」でもありました。具体的には過去は日本海の国防を担う監視所として、そしてレーダー基地として使われていたからです。映像の最中に動物達が登場しますが、私達は動物に出会った時、「動物を見た」と言いますが、もしかしたら「動物に見られた」が正しいかもしれません。灯台も実際かつては「こちらを見て」いました。本作はそのような経ヶ岬灯台の歴史を通して、「見ること」と「見られることについて」、人が互いに向ける視線に関しての考察が題材となっています。

    協力 スコップ提供 京丹後のみなさま

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