前谷 開

MAETANI Kai

前谷 開

1988年 愛媛県生まれ。2013年 京都造形芸術大学大学院 芸術研究科表現専攻修了。自身の行為を変換し、確認するための方法として主に写真を使った作品制作を行う。2019年より京都と滋賀の県境にあるシェアスタジオ、山中suplexに加入。主な展覧会に、「六本木クロッシング2019 展:つないでみる」(森美術館/東京•2019)「群馬青年ビエンナーレ2019」( 群馬県立近代美術館•2019)など。

  • 風景を見る身体について

    ここ浅茂川区民会館二階ホールには、前谷がこの京丹後で三年の時間をかけて撮影した様々な写真が展示されており、中二階の階段を上がると同じように京丹後市で撮影された映像作品が展示されています。この場所ではかつて映画の上映が行われており、中二階の空間はかつて映写室(映像を映し出す部屋)として使われていました。そもそも私達は光を通して色や形を認識します。だからこそ写真とは光をフィルムに記録する行為ですし、また映像はフィルムに光を当てる行為です。展示されている写真は後ろから光を当てられていますが、写真を見せることだけを目的としているわけではなく、写真を通して鑑賞者に光を当てているのです。このような前谷の考えは、写真でありながらも、写真に写ること以上の風景の体験を伝えることを目的としています。 先にも触れましたが、前谷は三年間季節を問わず京丹後に通い、1000枚を超える写真を撮影しました。撮影を続けていると最初は「何か特別なものを写そう」という気持ちがあったそうですが、だんだんと海の景色など日常的で素朴な風景にこそ目が行くよ うになったと前谷は言います。しかし反面、この町で目にうつる景色や、体を包み込む光が、より鮮明に感じられるようになったといいます。だからこそ今回の作品は、切り取られた景色ではなく、町を照らす光そのものを一つの写真作品として表現しているのです。
    中二階の映像は、昨年度前谷が丹後震災記念館で行ったパフォーマンス作品の連作で、京丹後の風景写真をカメラの構造を反転させ、フィルムの裏側から当てた光を、レンズを通して前谷自身に投射しています。ここでも前谷は写真を切り取られた光の記録ではなく、体に浴びた光の記憶として捉えているのです。

    協力 本井優香 / 沖佐々木環 / 俣野地左 / 奥口陽登 / 沖佐々木範幸

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