鷲尾 怜

WASHIO Ray

鷲尾 怜

1995年 東京都生まれ。
京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻在籍。
日常生活で感じる作品の不要性を克服することによって生まれる違和感をテーマに制作を行う。
「クロスポイント」(東京・2017)「大彫刻フェア」(京都・2018)「セコンドハンド」(東京・2018)

  • sand and water

    入り口には忙しなく動く不思議な機械、中心には大きなプール、そして奥には入り乱れるように再生される映像があります。この不思議な機械は琴引浜の鳴き砂を人工的に生産する機械であり「琴引浜鳴き砂文化館」から正式に借りてきたものです。またプールは、7トンの海水で満たされており、上に乗っているのは琴引浜の付近で採取された鳴き砂に限りなく近いとされる砂です。バラバラに琴引浜の要素を持ってきて展示することで展示は奇妙な実験室のような程を成しています。鷲尾は琴引浜の環境保護運動への関心から、風景(もしくは土地)を仕切っていくことや資源の分配について考察し今回の作品を制作しました。かつてはただの浜辺であった琴引浜は2007年に天然記念物に制定されることで保護対象となり、人を多く呼ぶ地域の観光資源となりました。そこで鷲尾が考えたのは、実際には「どこからどこまで琴引浜と定義できるのか」ということです。鷲尾は琴引浜鳴き砂文化館に通い、琴引浜の成り立ちについて調べていきます。そして実際には「浜辺」と呼べる部分は実はより大きな地域で、植林された砂丘もかつては浜辺の一部であったということを知ります。しかしその部分は環境保護の対象ではありません。また鳴き砂は採取が禁止されている為、琴引浜鳴き砂文化館に展示されている鳴き砂は、砂丘など外から採取してきた砂を、展示されている機械で人工的に作り出したことを知りました。昔の琴引浜は京丹後の日常風景の一部であったはずですが、要素を分解していくことで研究を可能にし、定義をし、ルールを作り出して今その姿を保つことができています。鷲尾は今回、かつて鳴き砂を研究した人達が実行したように、琴引浜の要素を分解して展示会場に配置しています。しかしそれは研究者のような科学的な観点ではなく、アートの観点から浜辺を切り取ってくる道具/素材に着目しています。海や川を模すプール、鳴き砂を作り出す機械、鳴き砂になり損ねた砂、そして琴引浜を写した映像。これらを琴引浜に関する要素を組合わせていくことで鷲尾は風景画ならぬ、風景彫刻として琴引浜をここに作り出しているのです。

    企画協力: 山川産業株式会社

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