石毛 健太

ISHIGE Kenta

石毛 健太

1994年 神奈川県生まれ。
2018年 東京藝術大学大学院修士課程修了。
物語の読み替えや都市論の再考等をテーマに製作する。
「カーゴ・カルト in KENPOKU」( 茨城・2017)「Escape from the sea」(クアラルンプール・2017)「変容する周辺 近郊、団地」(東京・2018)「生きられた庭」(京都・2019)

  • 荒れ野の声 AM / FM

    白い巨大な展示台の上に漂流物が置いてあります、よく見るとそれらは日本の漂流物以外にも、韓国や中国の物が多くあることがわかります。この作品は「荒れ野の声 AM/FM」というタイトルですが、ここで聞こえている音声は、京丹後で採取した漂流物同士をパーツとして繋ぎ合わせて石毛が作り出した「漂流物ラジオ」から発信されています。また流れている音声は、石毛がパーソナリティとなって「FMたんご」で番組の放送した会話の内容です。この作品は「琴引浜鳴き砂文化館」にて展示されている、韓国から流されてきたラジオから着想を得ています。一時期の間、韓国から北朝鮮に向けて大量のラジオが漂流されましたが、そのいくつかが日本海を超えて京丹後に流れ着来ました。ラジオは韓国政府が北朝鮮に暮らす人々に、民主主義を呼びかける放送を届ける為に漂流されていたのです。このような情報による韓国から北朝鮮への呼びかけはバリエーションに富んでおり、本作品のタイトルとなっている「荒れ野の声」も、韓国のコーナーストーン宣教会が北朝鮮に向けて発信する短波ラジオ放送の名称で、これも日本海の対岸地域でも受信することができます。漂流物のラジオ、漂流してくる音声、石毛は「見えない相手に送られたメッセージ。それを関係ない第3者が受け取ってしまうこと」の「行き違い」に興味を持ちました。まるで誰かのメッセージ・ボトル(ガラスのボトルに手紙を入れて漂流させたもの)を拾ってしまうように、「行き違い」は私達を少しドキドキさせます。そのドキドキの正体とは私達を知らない世界への想像力を掻き立てること、つまり非日常へと誘う予感なのです。石毛はゴミでしかない漂流物を、作品を通じて「新しい想像力を開く為の装置」に変えているのです。

    石毛の放送はFMたんご(79.4MHz)にて聞くことができます。また放送はインターネットのサイマル放送でも聴くことができます。詳しくはFMたんごのHPをご覧ください。