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大京都 2018 in 福知山

開催期間:11月2日(金)~4日(日)・9日(金)〜11日(日)
     (※会期中の平日も観覧可能な展示作品もあります。)
展示場所:福知山城、新町商店街、ゆらのガーデン、柳町 他 ※入場無料【福知山城のみ入館料必要】
開館時間:9:00~17:00
     アーティストトーク1:11月3日(土)15:00~
@福知山公立大学まちかどキャンパス吹風舎
     アーティストトーク2:11月11日(日)15:00~
@古本と珈琲 モジカ
     ガイド付まちなか展示鑑賞ツアー 開催期間中の土・日

2017年度に行った「京都:Re-Search 2017 in 福知山」でのリサーチをもとに、 アーティストによる地域の新しいアートドキュメント(=記録)を作成する『大京都 2018 in 福知山』を開催しました。
参加アーティストは、「京都:Re-Search 2017 in 福知山」から2名を選抜し、昨年度講師として招き、 福知山を共にリサーチした藤浩志氏をゲストアーティストに迎え、約3ヶ月におよぶ滞在制作と、そのプロセスを福知山市内各所で公開し発表しました。

ここであらためて、アートと地域について考える

この2年間、福知山での取り組みはなんだったのか?
アーティストには、2週間のリサーチを行うスクール形式のアーティスト・イン・レジデンスの導入により「time & space」がもたらされ、アーティストと地域にとっては、時間と場所を共有するチャンスだったと考える。
2年をかけたプロジェクトの成果は、2年目の大京都(アートフェスティバル)に向けての作品制作滞在の約3ヶ月、アーティストと地域との共有によって、福知山の「時間と場所」が可視化されたことである。
それは、福知山という地域が、これまでとは違うやり方で開かれたことでもあり、これまでとは別の公共性を獲得したといえるのではないか。
よくも悪くもアーティスト・イン・レジデンス、アートフェスティバルによる地域へのアーティストの往来は一時的な出来事である。アーティストは来るけれどもいなくなる存在なのだ。地域の歴史を踏まえるとほんの一瞬だ。けれど、人が一瞬で恋に落ちて人生を変えることだってあるように、こんなロマンティックな出来事を受け入れられるか一蹴するかは、地域の度量、包容力次第だなあとしみじみと思う。福知山では一瞬のはかなさで終わらなかった。その象徴的な出来事は、地域アートマネージャーが動き、サイトウ家具店に協力をいただいたシンマチサイトの開設である。2年に及んだプロジェクトとはいえ、直接的な関わりを持ち得たのはほんの一握りだろう。しかしこの2年間で、種は蒔かれている。1年目に6名、翌年3組のアーティストが地域と関係を築いている。また、地元のアーティストやアート団体の活動があり、彼らの協力やモチベーションを得て有機的に広がっていくだろう。変化はこの「一瞬」がどれだけ続いていくか、続けられるかによってようやく起こるのではないだろうか。

大京都に至るまでにはアートが地域と段階的に関係を構築してきた。
1年目の京都:Re-Search開催にあたって、前任の地域アートマネージャーが福知山の場所と人を最初に見出し、ツアーを仕立てた。そこを出発点に6名のアーティストが2週間をかけて、福知山を縦横無尽にリサーチすることができた。このリサーチ・プログラムの参加アーティストのうち2名と、藤浩志&2/2(fujistudio.co)を迎えて2年目の大京都開催にあたっては、新任の地域アートマネージャーと地元のアーティストがコーディネートで加わり、発表に向けた作品制作のための約3ヶ月間の滞在をおこなった。滞在制作期間をほぼ福知山で過ごしたアーティスト、京都市内から定期的に通ったアーティストなど滞在時間は様々ではあったが、おそらくひとつの地域、自分のプロジェクトに集中的に向き合ったことだろう。期間中ほぼ福知山に暮らしたアーティストは、制作のかたわらアルバイトもしていたという。地元の人と同様に、参加アーティストらもまた生きることに必死である。リサーチ・プログラムではただの旅人レベルであったアーティストが、2年目の大京都では生活者であった。

藤浩志& 2/2(fujistudio.co)は、作品を介在させることによって、マチの姿に焦点をあてようとしていた。本来、藤浩志は、人が生きていく営みのなかで「生まれてしまうもの」「生み出してしまうもの」をあっさりと捨てたり、放置することなく執拗に集め、新しい形を与える活動を続けている作家であり、藤のアーティストとしての営みそのものはいつも半端ない凄まじさで迫ってくる。福知山においては、いつもの凄みが抑えられほほえましくマチの営みに同居していた。京都の小さなマチをそのまま鑑賞空間にしたかったかのような、迫る野望はそのままながら道端の草花のような佇まいであった。そういう意味ではとても新鮮で、藤浩志& 2/2(fujistudio.co)の作品を見つけると同時にマチの断片を発見して、それらを繋ぎ合わせてまたマチになるというような仕掛けだった。

池永梨乃は、タマムシに姿を変え、生活とパフォーマンス作品を一体化させようと試みた。長期的に福知山に身を置き、住民とは異なる生活者の視点でマチと一体になろうとしているかのようだった。池永のプロジェクトでも人工的な都市開発と自然、人と自然、アートとマチという軸が貫かれ、相反するものが一体になっている様にこだわり続け、悩み続けているありのままであった。それは我々自身のようでもあり、痛々しくも滑稽で愛おしいのだ。アーティスト・イン・レジデンスの成果発表としてみれば、プログラムがアーティストへ新しいチャレンジを促し、そのチャンスを提供できたといえるし、アーティストもまた、そのチャンスを十分に活かしたとみている。アートフェスティバルのコンテンツとしては、さらに精査と技術が要求されるだろう。しかしながら、この試みは、近い将来の腰の座ったプロジェクト実現への可能性を残したし、福知山と大京都の舞台はそれを若いアーティストに与えることができたのではないだろうか。

夏池風冴は、鬼についてリサーチし、パフォーマンス作品を映像化しアウトプットとしてインスタレーション作品を制作した。私自身も福知山の町村合併の事情や歴史的な背景、出来事の深さに驚いたのだが、この縦軸にも横軸にも伸びるすべての要素を「鬼」の気配でつなぎ合わせ、地理的に、時間的に自由に移動させることに成功した。また、作品鑑賞空間を4か所に置くという大技である。アーティストの頭の中にある(だろう)底知れないブラックホールのような空間を同時に体験しているようでどきどきした。作品が置かれたそれぞれの地区は選ばれた場所が秀逸であり、アーティストの指示ではなく、自然におこったという会場をガイドする地元の人の語りが加わって「場所」が立ち上がるのを実感した。場所と関係を結んだことで、狙いなのか予期せぬ出来事だったのか、「場所と時間」にスポットライトがあたった。光(リュミエール)を宿したからか、夏池のプロジェクトは映画であったと私は思う。
映像作品としての完成度を満たすための精査や作業を今後に期待しつつも、このプロジェクトは大京都という舞台を離れては再現が叶わないだろうと思われることも加味し、ちょっと奇跡的でサイトスペシフィックなプロジェクトとして評価したい。

外からやってくるアーティスト(またはアートプロジェクト)の効果は、地域に、そこに住んでいる人の潜在力に刺激を与えて新しい活動のきっかけを与えることであったり、足を踏み外すというと悪く聞こえるのだが、いつもやらないことをうっかりやってしまう、そのときそもそもの能力を拡張するという火事場の馬鹿力が発動することによって、「こんなこともできるんだ」「自分はこんなふうに感じるんだ、とか考えるんだ」とか、自分自身の輪郭が柔らかく膨らむんだということを実感するというのがよくおこる。その現象は自信をもたらしたり、その人自身を再評価、見直すことにつながっていく。白いものが黒く劇的に変化するのではない、関わった人のなかでじわりじわりとポジティブな変化を促すというものである。さらに、時間をかけると効果は倍増する。アーティストは、この作用を起こしたいタイミングや状況に並走すると効果抜群であり、タイミングを測るのは、地域や地域のだれかにイニシアティブがある。文化芸術事業を設計する際には、タイミングと状況を見誤らないように、どうか気に留めておいてください。

私自身、このプロジェクトの同伴者として福知山に2年間のうち複数回訪れるなかで、初めての訪問で知ることになった場所と、いま“知っている”場所の数は増えたし、その内容も色濃く、もっと知りたい興味に変わっている。このプロジェクトが興らなければ、福知山の地名はよく知っていても、マチを知ることはなかっただろう。
超ミニマムな成果ではありますが(笑)、私はまた福知山に来たいと思っているし、機会があれば何かプロジェクトができないだろうかとさえ思うようになっている。すでに見切り発車で実験的に開始したのだが、由良川とその氾濫・災害と共存しようとした福知山の歴史や、商業の中継点であったことを物語る小さな旅館群の存在には心惹かれ、大京都の際には「ボートハウス_福知山の家と船」という簡易宿泊所のプロジェクトを始めてしまった。1年目にアーティスト・イン・レジデンスの拠点としてお借りした集会所を、ご縁を頼りにまたお借りしたのだ。言ってしまえば、国家や行政区分や地域やコミュニティではなく、アートはとてもパーソナルなエリアで起こるものだ。小さい小さいささやかなものだろう。しかしながらパーソナルな関係は長期的に続いていく。この福知山での実験は、私の個人的で長期的なプロジェクトの始まりを予感している。これまでまるで縁のなかった京都の、福知山をきっかけにして。

アーティスト・イン・レジデンスの手法を取り入れた京都:Re-Search、続く大京都というアートフェスティバル。このふたつは似ているようでいて、運営の手法も目的も異なる事業の組み合わせである。この差異は主催、運営現場ともにもう一度丁寧に見直しを行う必要がある。しかしながら、アーティスト・イン・レジデンスがアーティストにチャンスを与えるものであり、大京都はかつて京都府が取り組んだ地域の文化的・創造的活動を牽引するキーパーソンを発掘する「大京都」プロジェクトからの発展として、地域、マチの人に焦点をあて、マチと協働で取り組むアートフェスティバルとして計画されていることの意義は大きいと考える。このふたつの事業を同時に成立させるのは一筋縄ではいかない。だから、よきことであるはずのこれらの一瞬を、時間をかけたマチの変化にまでたどりつくように。ここから先は、個人個人がどうしていくのかが問われていくのかもしれない。「アートと地域」とは、私(個人)と地域の関係を再構築するということなのではないだろうか。

小田井 真美(さっぽろ天神山アートスタジオ AIRディレクター / 文化芸術事業設計)

プログラム

  1. ボートハウス_福知山の家と船

  2. ガイド付まちなか展示鑑賞ツアー

  3. アーティストトーク @福知山公立大学まちかどキャンパス吹風舎(京都府福知山市字上新7)
    藤浩志×地元のみなさん

  4. ガイド付まちなか展示鑑賞ツアー

  5. 勝手にファッションショーしながら歩く作品鑑賞ツアー byいろいろやってみる部

  6. ボートハウス_福知山の家と船

  7. ガイド付まちなか展示鑑賞ツアー(午前) + 夢の山々を巡るバスツアー(午後)

  8. こどもツアー(山山こどもアート学校)

  9. アーティストトーク @古本と珈琲 モジカ(京都府福知山市中ノ28-3)
    池永梨乃・夏池風冴×小田井真美 (AIRディレクター / 文化芸術事業設計)

事業主体
京都 :Re-Search 実行委員会(構成:京都府、福知山市ほか)
助成:損保ジャパン日本興亜「SOMPO アート・ファンド」(企業メセナ協議会2021 Arts Fund)

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