綾部市は伝統的な手漉きの技術によって作られる黒谷和紙の産地としても知られる土地。 綾部の志賀郷という場所に移り住み、職人として黒谷和紙を漉くかたわら、内装、絵画、クラフト、デザイン等、幅広い活動を展開しているハタノワタルさん。ご近所さんの田んぼをを手伝いながら、月に一度、志賀郷で開催される手作り市「三土市」の運営を通じて地域の魅力を発信している実にユニークな人物だ。
「作り手が伝えたい思いがいっぱいに詰まった市」という三土市には米や野菜、生花をはじめ、手作りの料理やクラフト作品も並ぶ。「たくさんの人が来てくれるようになったのが嬉しい。綾部には、三土市のリーダーでもある井上さんという頼もしい先輩もいるんです。精魂込めて育てた自分のお米を自主流通しようと昔から頑張ってきた方で、クリスマスの夜にはトラクターをデコレーションして村を走りまわる“ 志賀郷サンタパレード”を行っていたり、農家の担い手となる若い人たちの育成や応援にも力を注いでいたり。いつも町の人を元気にしようとするその活動は、私たちに希望を与えてくれます。私も表現者として紙漉きや綾部での暮らしのなかで感じるリアルなものを伝えていきたいと思うし、自分の作るものの中に表現しています。」
黒谷和紙に絵を描いていたことがきっかけで紙漉きの職人を目指し、綾部に移り住んだというハタノさん。綾部に根をおろして十五年以上になる。幅広い分野で活躍するアーティストとして今後ますますその活動が注目される。

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